2013年1月30日水曜日

Tenpla gallery ONE

今週のTenpla gallery ONEは、
書道家 蟠龍(ばんりょう)さんの作品で
「猫と蛇」です。


蛍光塗料で書いた書道という意味と、
3Dメガネを使った奥行きのある視覚効果で
思わず「ぼっけぇ」と言ってしまいたくなる、という意味をかけて
墨蛍(ぼっけい)書道と
作家がネーミングしたそうです。 
※ぼっけいとは岡山弁ですごい!の意味

蛍光塗料を使った書道は今までにもありましたが、
立体視メガネを使った鑑賞の仕方は世界初になるそうです。

昨夏、天神山文化プラザで行われたペルソナブランカ公演
「夢幻能イフリート」は役者でもある作家の墨蛍書道の表現を
舞台美術に使用した初めての試みになりました。
この時の映像もありますので、ぜひ遊びに来てくださいね。



2013年1月22日火曜日

Tenpla gallery ONE

今週のTenpla gallery ONEは、絵画の作品です。
前嶋陽子さん『無題』です。


 
とても緻密に書かれています。
1/27までです。
ぜひ遊びに来てくださいね。

2013年1月18日金曜日

『キセキ27』熊本県立美術館③ (完)


今回は熊本県立美術館(1976年竣工)の
タイルのお話です。

前川は、従来の工法の欠点である
タイルの劣化や外的付加による剥落を
解決すべく、”現場打込みタイル”を生み出します。

打込みタイルとは、
特注のタイルを型枠に留め、
コンクリートと一体化させることで、
剥落や浸水のない耐久性のある外壁を実現した工法です。


熊本県立美術館の外壁の
打込みタイル。



下の写真は、林原美術館(1963年)です。
熊本県立美術館の外壁タイルと似ていますが、
耐火レンガで作られています。

(林原美術館外壁)

林原美術館は、前川の美術館建築の原点とも言える作品です。
外壁に積まれた屑レンガの質感も
その後、多様された打込みタイルを予感させます。




熊本県立美術館の網代張床タイル

(吹き抜けホール床)

 

天神山文化プラザの網代張りタイル
                                          
(1階ピロティ床)


打ち込みタイルは、建築ごとに材質、焼き方、釉薬のかけ方、
タイルの大きさ等、試作により表情を確認しながら
作られた建築は、その後の前川建築の特徴をづける
普遍的ともいえる存在感を放っています。

建築史家・建築家 藤森照信は「(前川は)晩年のとば口に立ち、
モダニズムに冷たさを覚えるようになり、
若い日に憧れたウイリアム・モリスらが好んだ
赤レンガの暖かみに帰っていったそうです。
熊本県立美術館は、その記念碑な作品なのです」

(藤森「名建築美術館へ」『日経おとなのOFF』2011.8)より抜粋

熊本県立美術館の素晴らしさは、
人が佇み続けられる要素、
中庭や大きい窓から自然を感じられる
空間にあると思いました。
ぜひ、また違う季節に訪れてみたいと思いました。

2013年1月17日木曜日

『キセキ26』 熊本県立美術館 ②

今回は熊本県立美術館(1976年竣工)の
”吹き抜けホール”のお話です。

外から見る吹き抜けホール(写真右側)は、
樹木の中にひっそりと佇んでいる雰囲気です。


館内に入ると、天井までの窓から大きな木々が見えて
そのスケール感に圧倒されます。

見上げると、ワッフルスラブと呼ばれる
格子天井ですが。

格子内の底面がブルーに塗装されているのが、
成層圏ブルーに、こだわった前川らしい…。
空にたなびく雲のイメージかもしれません。


 バルコニー的な中二階から
   吹き抜けを見下ろす空間構成がつくられています。
     (前川國男の空間の水平的連続性)
                            

吹き抜けホールに配されている照明は、
福岡市美術館(1979年)のエントランスロビー階段の
照明と同じでした。

写真に写りにくいようなディテール、
ちょっとした足元のタイルの大きさだったり、
あるいは、素材や風合いとか、
生活の感じを醸し出すような要素が
空間の連続性を作り出している。
「前川國男現代との対話」より抜粋

私も、 熊本県立美術館の暗い色のタイルは
周囲の木々の緑と合っていて
素晴らしい佇まいだなと感じました。

ちなみに、熊本県立美術館を訪れた時は、
雪がちらつく曇りの日でした。
美術館までの道のりは、城内を散策しながら、
本当にここに美術館があるの?と
ちょっとドキドキするような、楽しいものでした。

次回は熊本県立美術館の
打込みタイルのお話です。








2013年1月16日水曜日

『キセキ25』熊本県立美術館 ①

前川建築探訪の第3弾!
今回は熊本県立美術館(1976年竣工)の
お話です。


熊本県立美術館は熊本城の城内にある
美術館です。
                                                                         (写真中央が熊本城)
                                                 

前川は設計にあたり、3つの条件を
自ら課したといわれています。

        ①樹木を蘇生させること       
                 ②建物の高さを抑制すること               
        ③環境に適合する素材を選ぶこと
          

                           
      前川は熊本県立美術館を、
     熊本城の石垣をイメージして
  デザインしたといわれています。
                                  

              
熊本県立美術館は前川68歳の作品で、
当時、熊本城を見て「これは世界一の城郭です」といい、
二の丸公園の建設予定地を見て
「なぜこの敷地を選ばれたのか?
(この土地に何も建てないがいいのではないか)」と言ったとか。
そして、「樹木は一本も切りません」と決意したそうです。
(田中清雄所長の証言)
           
次回は、熊本県立美術館の吹き抜けホールのお話です。






2013年1月11日金曜日

『キセキ24』熊本県立劇場

今回は前川建築探訪の第2弾
熊本県立劇場です。


熊本県立劇場は、1982年竣工
前川の晩年の作品で、
東京文化会館を意識して造られたと言われています。


床をタイルで模様を造るのは、東京文化会館が
最初といわれています。
熊本県立劇場の床は、S字模様で統一しています。(写真は1階ロビー)
 
     

エントランスホールは天井が高く
ヨーロッパの劇場にあるような照明が
お客様の心を躍らせます。


こちらは、2階の廊下。
福岡市美術館のエントラスの階段にある照明と
似た照明が配されています。


熊本劇場の照明。
よく見ると、柱には天神山文化プラザと同じ
杉板の模様があります。
         


こちらは、総合文化センター時代の照明。
柱や廊下に数多く配されていました。
ガラスの細工が見事です。


市民が自由に散策できるエスプラナード


もしかしたら、この敷地に足を踏み入れた瞬間から
劇場空間が始まるかも…そんな感じのする劇場でした。
大きな窓から景色が見渡せることや
デザイン性に富んだ照明など
福岡市美術館と共通するものがありました。

外観は今まで見た前川作品とは
少し違う感じがしましたが、
館内に入ると、
東京文化会館を思わせる雰囲気があり、
懐かしい気持ちになりました。

さぁ、次回は探訪第3弾 熊本県立美術館です。







2013年1月8日火曜日

『キセキ23』 福岡市美術館 続編

前回に続き、福岡市美術館のお話です。
福岡市美術館の2階廊下にある
ガラスの照明です。


こちらは50年前に撮られた
天神山文化プラザ2階ロビー天井の照明。
ふたつはとても似ています。
                                                        
(S372階ロビー池上 傳氏所蔵)


天神山文化プラザの改修後は、
時代にあった照明に変更されています。



福岡市美術館は、建物はもちろん、照明・タイルなどにもこだわりがあり
大濠公園にある池や木々などと相まって、
訪れる人を癒してくれます。

2階ロビーから眺める大濠公園です。
天気が良かったらいいのですが…残念。
              

南側入口までの散策路
建物に行くまでの楽しみです。
                 


大濠公園の中に、景観に溶け込んだ
”スターバックス”を発見!
ランニング専用の道もあって
みんな思い思いの時間を楽しんでます。

     
 福岡市美術館は老朽化に伴いリニューアル予定です。
増改築などはせず外観は変わらない予定で
ショップを移転拡充するほか、
大濠公園側にカフェも設置する予定だそうです。
2017年のリニューアルオープンが待ち遠しいです。

次回は探訪第2弾 熊本県立劇場です。
お楽しみに!!

2013年1月6日日曜日

Tenpla gallery ONE

 今週のTenpla gallery ONEは、新春にふさわしい書道です。

             

養和書道院で活躍の書道家 小林純子さんです。

   知足不辱    甲骨文による

この書の意味は、
足るを知れば辱められず
(大意)どこで満足するかをわきまえていれば、
世間から恥辱を受けることも無い。

力強い文字に背筋を伸ばして頑張りたくなりました。
みなさん1/20まで展示しております。
遊びに来てくださいね。