2012年5月25日金曜日

『キセキ5』



先日、岡山県総合文化センター建設を請け負った、
(株)大本組(岡山市)の現場主任だった武田精一さん(当時37歳)に、
建設当時の貴重なお話を聞くことができました。


みなさんもご存知の、建物西側にある石階段は、
コンクリートの塊が宙に浮いているようにみえます。

当時、打ち放しコンクリートの建物をつくるのは、初めてで、
この階段については、今まで見たこともない設計図で、
鉄筋をどう組むか悩んだ事を記憶しているそうです。
現場の優秀な大工さん達のお陰でなんとかうまくいったと
嬉しそうに話されていました。

当時の現場写真


柱や壁は、現在のように合板の型枠ではではなく、
一枚ずつ、かんなをかけた杉板をつなげて型枠を作ったそうです。
その中にコンクリートを流し込み棒で上からかきまぜ、横から型枠を
叩き空気を抜く作業をして2週間おいて
柱や壁が出来上がったというお話でした。
その後、すべての柱を濡れた新聞紙でこすって磨いたそうです。
 柱や壁には型枠に使われた杉板の木目がきれいにでています。

お話を聞いた後、武田さんが『コンクリートはひび割れてませんか?』と尋ねられたので、
私達は声をそろえて『大丈夫です』とお答えしました。
これだけ現場のみなさんが、手塩にかけて作られたコンクリートの柱は
もしかしたら、100年は大丈夫かもしれないと内心強く思いました。
50人から60人の人達がこの現場で試行錯誤の日々を過ごし
当時、公共の文化施設としては、西日本一といわれた
『岡山県総合文化センター』が完成したお話は、とても感慨深いものがありました。






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