2013年3月7日木曜日

『キセキ31』総合文化センター

開館当時の岡山県総合文化センターが
昭和37年7月1日に発行の
建築雑誌『新建築』に掲載されていました。
(「新建築」池上 傳氏所蔵)

掲載されている総合文化センターの写真は
全て、関西におけるフリーランスの建築写真家の
草分け的存在として長く活躍された
多比良敏雄氏(1911~1983)撮影によるものです。

現在と変わらない西側外観
第2展示室は、まだありません。
                                     
            
左上、北西よりの全景 右上、ピロティより階段およびサービスヤードを見る    
左下、北側閲覧室外観 右下、南側外観

特に北西からの全景写真は、周囲に大きな建物が
建ってしまった現在では撮ることが難しい、貴重な資料です。
   


左上、ピロティより東側正面入口 
   左中、ピロティより西側階段を見る
左下、トップライトおよびベンチ
 右、レリーフ
トップライトの写真には屋上の床面コンクリートに
洗い出しでアクセントがつけられているのが写っています。
来館者に「ぜひ屋上を利用して欲しい」と
設計者が考えていたことが、うかがえる写真です。

              

 左上、1階入口ホールよりピロティを見る
左中、1階入口ホール
左下、小集会室288席            
右上、右下、図書館閲覧室
                                   
閲覧室は、現在、第3・4展示室として使われ
北からの採光はありませんが、
当時は、高い天井まで一杯に広がる窓で
大きく採光していた様子が写っています。


左上、 2階図書館ホール 右上、第1展示室内部
   
左下、2階図書館ホールから見たレリーフ
右下、第1展示室内部

2階のホール窓は、現在では武骨な耐震ブレースで
補強されたため、レリーフが見えにくくなってますが、
当時はすっきりと見通すことができたようです。
ホール天井のランダムに配置された照明と、
第1展示室の整然と配置された照明を比べると、
細部まで目的に合わせ、気を配った設計と
なっていることが判ります。



平成17年に建物の良さを残しつつ
現在の天神山文化プラザの姿となりました。
図書館部門は移転し、ホールはそのままに
展示室は第1~第5展示室に増え、
より多くの方に利用していただけるようになりました。

周囲で、次々と新しく建物が建築されていますが
古い建物の良さを活かし
大切に使い続けることは、
とても大事なことだと思います。

また、現在、多比良氏の撮影した多くの建築物が
取り壊されつつある中、氏の写真は
広く日本近代建築を検証するにあたっての
建築文化遺産としての価値を持ち始めているとのことです。
「村野藤吾と建築写真 写真家・多比良敏雄の仕事」より抜粋






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