弘前市の西側、禅寺の並ぶ禅林街を抜け坂を下ると
岩木山を望むリンゴ畑の中に斎場はあります。
弘前市にある前川建築8棟のうち最後の作品となっています。
前川建築とは異なり、屋根は急勾配の鋼板葺になっています。
車寄せの天井は鉄筋コンクリートの
組格子となっているのが特徴です。
雪の日でも十分な広さで訪れる人々を包み込むように迎えます。
斎場内のロビーの様子です。
内部は、炉前ホール、収骨室、事務室などの火葬棟と
待合棟、そしてこれらを繋ぐ渡り廊下で構成されます。
遺族が待つ和室と炉室を繋ぐ、長い緩やかなスロープの渡り廊下は、
黄泉の国と俗世を結ぶ、古事記由来の
黄泉平坂(よみひらさか)をイメージしているそうです。
黄泉平坂(よみひらさか)をイメージしているそうです。
弘前緑の相談所でも使われていた陶器のベンチや灰皿があります。
優しい光の照明です。
モダニズム建築を日本に広めた前川は
長年フットルーフに拘り続けていたが、
一方で伝統的な勾屋根を取り入れ
流れるような空間構成を
生み出すことに成功している。
前川の母方の古里である弘前に、初めて前川が設計した
処女作「木村産業研究所」から約半世紀、夫人と共に
出席した斎場の竣工式は、前川にとって弘前訪問の
最期となった。3年後の1986年前川は死去。
0 件のコメント:
コメントを投稿